第24回公判期日が開かれた9月5日に、東京地裁に対し、裁判官が福島第一原発など事故現場を訪れ、現場検証を行うよう求める要請書を提出しました。
同様の要請は7月11日にも行っていますが、7月25日の第22回公判期日で指定弁護士が検証請求に関する意見陳述をしたことを受け、福島原発刑事訴訟支援団の呼びかけ人・賛同人の連名をもって、再度裁判所に求めました。
事件番号 平成28年刑(わ)374号
平成30年(2018年)9月5日
東京地方裁判所 刑事第4部 御中
裁判長 永渕健一 殿
福島原発刑事訴訟支援団
福島原発告訴団
福島原発告訴団弁護団
検察官役の指定弁護士らが求めた東京電力福島原発事故刑事訴訟の現場検証等に関する要請書
貴職の日頃の活動に敬意を表します。
私たちは、東京電力福島第一原発事故により強制起訴された、勝俣元会長ら東京電力旧経営陣3被告人の業務上過失致死傷事件で、被告人らを告訴・告発した福島県民などからなる団体です。事故から7年半の間、東京電力福島第一原発事故の真相と刑事責任の所在が一日も早く明らかになることを願って参りました。
7月25日の第22回公判期日で、検察官役指定弁護士の久保内浩嗣弁護士が、検証請求に関する意見陳述を口頭で行いました。福島原発刑事訴訟支援団と福島原発告訴団も7月11日付で東京電力福島原発事故刑事訴訟の現場検証に関する要請書を提出しているところです。
指定弁護士は平成29年3月10日付け検証請求書で、福島第一原子力発電所、双葉病院、ドーヴィル双葉、救助避難経路において検証するよう求め、また、同年9月19日に補充意見書、平成30年7月20日に補充意見書(2)を提出されています。
福島第一原発の現地を訪れれば、敷地の周りが切り立った崖地であることが分かり、高さ30mの敷地を20m掘り下げたために津波に対して脆弱になったことが分かります。
指定弁護士は意見陳述において、「この争点を判断するには」、「事故発生の経過を、具体的、現実的に理解することが不可欠です」、「そのためには、同発電所を直接に見分し」、「裁判官の五官によって検証する必要があります」と述べています。
そして最後に「現場に臨めば、本件原子力発電所がいかに海面に接した場所に設置されているか、津波の襲来に対する十分な対策が必要であったか、が一見してわかります。本件について正しい判決をするためには、本件原子力発電所の検証が必要不可欠です。」と結んでいます。
私たちも、指定弁護士の意見について、全面的に賛同します。その現場を見た上でなければ、厳正なる判決は下せないものと考えます。
そして、被害の実態を詳細に把握するためにも、本件事故被害者が傷害を負った現場や、尊い命が奪われた44名が治療・看護を受けていた現場などについても、是非、現場検証などの手段で、見分していただくことを要請します。よろしくご検討をお願いします。
以上
福島原発刑事訴訟支援団 呼びかけ人
- 石丸小四郎(福島原発刑事訴訟支援団 副団長)
- 海渡雄一(弁護士)
- 鎌田慧(ルポライター)
- 河合弘之(弁護士)
- 神田香織(講談師)
- 佐藤和良(福島原発刑事訴訟支援団 団長)
- 添田孝史(科学ジャーナリスト)
- 満田夏花(認定特定非営利活動法人 FoEJapan 理事)
- 水戸喜代子(子ども脱被ばく裁判の会 共同代表)
- 武藤類子(福島原発告訴団 団長)
福島原発刑事訴訟支援団 賛同人
- 明石昇二郎(ルポライター)
- 秋山豊寛(ジャーナリスト)
- 安積遊歩(人権活動家)
- 石田紀郎(特定非営利活動法人 市民環境研究所 代表理事)
- 李雅美(歌手)
- 今中哲二(京都大学 複合原子力科学研究所 研究員)
- 落合恵子(作家)*要請書提出後に賛同のご連絡をいただきました
- 小森陽一(国文学者)
- 崎山比早子(医学博士/特定非営利活動法人 3・11甲状腺がん子ども基金 代表理事)
- 島田恵(映画監督/写真家)
- 高木久仁子(認定特定非営利活動法人 高木仁三郎市民科学基金 事務局長)
- 高橋哲哉(東京大学大学院 教授)
- 中島哲演(福井から原発を止める裁判の会 代表)
- 中村隆市(株式会社ウインドファーム 代表)
- ノーマ・フィールド(シカゴ大学 名誉教授)
- 藤崎光子(JR福知山線脱線事故遺族)
- 湯浅一郎(特定非営利活動法人 ピースデポ 共同代表)
- 横湯園子(教育臨床心理学者)