第2回公判報告 今後の刑事公判の予定と第2回公判で明らかになったこと:弁護士 海渡雄一

第2回公判報告
– 今後の刑事公判の予定と第2回公判で明らかになったこと –

福島原発告訴団弁護団・刑事訴訟被害者参加代理人
弁護士 海渡雄一

第1 はじめに

福島原発事故をめぐる東電役員らの刑事責任を問う裁判の第2回公判期日が平成30年(2018年)1月26日(金)に東京地裁104号法廷で開かれた。その概要を報告する。

第2 争点の整理と今後の審理計画

期日の冒頭,永渕裁判長から,約10分間にわたって、裁判における争点の整理と今後の審理計画について次のように説明がなされた。

1 裁判の争点

昨年6月30日の初公判で基本証拠を取り調べた。その後期日間に打合せをし,全体の争点や証拠について詰める作業をしてきた。全ての審理計画はまだ立っていないが,当面の目途が立ったため,2回目の審理を開くこととした。裁判の争点は,①津波襲来の予見可能性,②結果回避に必要な予見可能性の内容,③被害者の死亡について注意義務違反との因果関係の存否であると考えている。

2 指定弁護士の主要な主張

指定弁護士の主要な主張は次のとおりである。
被告人3人は最高経営者として,安全確保を図る責任を負い,防潮堤設置の工事や,運転停止を動機づける予見としては,10メートル盤を超える津波の予見可能性で足りる。平成14年7月31日に長期評価が公表され,東電は平成20年3月には長期評価に基づく津波の計算結果を東電設計から受領しており,遅くとも平成23年3月初旬には予見可能だった。また,被害者は事故の後医療行為を受けることなく移動を余儀なくされ死亡しており,因果関係がある。

3 弁護側の主要な主張

これに対して,弁護側の主要な主張は以下のとおりである。
東電は電力供給義務を負い,原発を停止した場合には様々な影響が生じることから,直ちに運転停止義務を負わない。武黒被告人については,平成22年にフェローに就任してからは,業務執行権限がなく,勝俣被告人については,分掌権限のない会長であり,専門技術をもつ部署を信頼するしかなく,責任は負わない。防潮堤を造り,あるいは原発を停止することは,社内外に重大な影響を及ぼすため,津波の規模に関して,相応の根拠が必要だった。長期評価や,15.7メートルの試算結果には信頼性,成熟性なかった。また,試算は敷地南側からの津波を想定しており,実際は東側から津波が遡上したため,対応できなかった。被告人らの注意義務違反と双葉病院の被害者の死亡との間の因果関係はない。

4 今後の審理計画

 裁判所は,「期日間打合せについては,新たに300点あまりの書証,1点の証拠物,証人20人を採用することを決めた。期日としては,6月15日の第17回期日までを指定した。おおよそ秋ころにかけ,20名の証人尋問と被告人質問を進める予定である。」と述べた。

第3 上津原勉証人の尋問によって明らかになった事実

上津原勉氏は,事故当時は原子力設備管理部の部長代理であり,本件事故後,東電の社内事故調査報告書の取りまとめに関わったものであり、今回の証人尋問は双方申請の証人として実施された。
指定弁護士による主尋問では福島第一原発の各建屋、原子力発電のしくみ、福島原発事故における水素爆発などの経過とあらかじめどのような措置を講じていれば,事故を防ぐことができたかについて指定弁護士による主尋問がなされ、事故後,東京電力が柏崎刈羽原発で実施した津波対策を写真で説明し、事故の5日より前に原子炉を止め,原子炉の蓋を開け,水位を上げておけば,爆発は防ぐことができたなどと証言した。
本件の争点に関しては次の3点の尋問結果が重要である。

第1に、主尋問に引き続く、弁護側による尋問においては、10メートル盤の上に10メートルの防潮壁を築くためには、敷地内の循環系配管との干渉を避ける必要があり、工事が困難であることが指摘されたが、指定弁護士の尋問によって、10メートル盤に10メートルの防潮壁を築くことには,埋設物などの問題点があり、干渉する建物,設備を移築するなど,工事が大かがりになることは予測されるが、工事は不可能ではないことが明らかにされた。

第2に、弁護側の尋問においては、上津原証人は2008年6月10日の会合に広報(県との折衝を含む)の立場で同席したが、土木グループの提示した15メートルを超える想定津波高さに対してこれまで想定を大きく超えており、違和感を感じた。会議の中では発言していないが、会議後に土木グループの高尾氏に、なぜこのような高さになるのか質問したが、違和感は解消しなかったと証言した。しかし、指定弁護士の尋問において、証人の感じたとされる違和感には,他から指摘されたことがないという以外には具体的な根拠がないこと、証人は,土木グループの高尾氏に質問した際のこれに対する説明内容すら記憶していないことが明らかになった。

第3に、被告人らが主張する,防潮壁を築くとすれば,敷地南側に築くことになったであろう、しかし実際の津波は東側から来たので、南側に防潮壁を築いたとしても、事故の発生は回避できなかった主張してきた。
上津原証人は、弁護側による尋問において、2008年6月10日の会議で被告人武藤に示された資料を示され、防潮壁を築くとしたら、どこに築くこととなったかと質問された。
この資料は、地震本部の見解をベースに土木調査グループが津波計算結果を色で示したものであり、資料では左側に東電設計のシミュレーション結果が示され,右側に枠囲みで,「OP10メートル盤に約10メートルの壁を立てることが必要」と記されている。さらにその下に,敷地境界線に沿って南北に10メートルの防潮壁があった場合,この壁に当たって遡上する津波の高さを想定した棒グラフが示されている。このグラフにおいては、敷地の南側にあたる4号機付近がもっとも高くなっていることが示されている。
上津原証人は、弁護側の尋問に対しては、シミュレーションの結果から見ると敷地の南側で津波の遡上高さが高くなっている。4号機の前当たりから敷地の海側に壁をつくる必要があると読み取れると証言した。しかし、指定弁護士の尋問に対しては、「この図(右下の図)が具体的なものを表しているとは思わない。具体的なことは検討を踏まえて,設置場所が決まっていくことになる」と答えた。つまり、この東電設計の計算結果だけからは,どこに防潮堤を築くかは決まらないことを上津原証人自らが認めたのである。

第4 上津原勉証人の尋問概要

以下は,上津原証人の尋問内容について,法廷において被害者代理人の立場で筆記した三名の弁護士(海渡・甫守・大河)のメモを付き合わせて私の責任で報告するものである。なお,文中のイタリック体の部分は,私の個人的な意見である。

A 検察官による主尋問

検察官による主尋問は,まず基本的な内容として次のような事項について証言がなされた。
上津原勉氏は,事故当時は原子力設備管理部の部長代理であり,その後,東電の事故調査報告書の取りまとめに関わったものである。

  1. 福島第一原発の各建屋について
    種類,位置,機能
  2. 原子力発電のしくみについて
    火力発電と原子力発発電の違い,原子力発電と原子爆弾の違い,原子炉のしくみ,原子炉内部の燃料について,放射線と放射性物質の違い,放射線の影響,放射性物質を閉じ込め・管理する仕組み,炉心を冷やす仕組み,各号機ごとの炉心を冷やすための設備の概要説明
  3. 福島原発事故の経過
    津波の襲来
    どの場所から津波が建屋内に侵入したのかを具体的に図示
    1号機の水素爆発にいたる経緯
    3号機の水素爆発にいたる経過
    運転していなかった4号機において,水素爆発が発生した経緯
    爆発しなかった2号機から放射性物質が排出された経緯
  4. あらかじめどのような措置を講じていれば,事故を防ぐことができたか
    東京電力社内事故調査報告書にもとづいて説明

    1. 防潮堤
    2. 防潮壁・防潮板・扉の水密化
    3. DG,ポンプなど重要機器を守る措置(水密化)
    4. 別途高台に代替注水のための設備を準備する 消防車・電源車・可動式熱交換機
  5. 事故後,東京電力が柏崎刈羽原発で実施した対策を写真で説明
    事故の5日より前に原子炉を止め,原子炉の蓋を開けて,水位を上げておけば,爆発は防ぐことができた。

B 弁護側反対尋問(宮村弁護士)

  • (5日前に原子炉を止めて,圧力容器と格納容器の蓋を開けていれば,事故は防げたと証言したが,それは事故後に考えた対策ではないか。)
    プールの中を,使用済み燃料を移動させる目的があれば,水位を高く上げる。ただ,圧力容器を開ける作業は専門家でなければできない。事故以前に,このような事故対策の発想はない。
  • 事故以後に前段否定の対策を考えるようになったが,事故以前には敷地を津波が越えてくると言うことを前提とした対策は考えていなかった。
    水密化についても,水密化の範囲,どのような漂流物を考えるかなどを想定しなければならず,想定は困難であった。

C 指定弁護士再主尋問(石田弁護士)

  • (10メートル盤を超える津波対策を検討したことはないと証言したが,他の部署でやっていたことを知らないか。)
      事故調査の関係で調べたが,想定を超える津波への対策をしたものはない。
  • (平成22年から福島地点津波対策ワーキングをやっていたことは)
    知っていた。
  • (ここで水密化の議論がなされていたことは)
    知っている。

D 弁護側主尋問(宮村弁護士)

  • (水密化をやっておけば津波は防げるのか?)
    大物搬入口などは物を搬入する際に開けておくことはある。平成23年3月11日の時も1号機のT/B(タービン建屋)大物搬入口が点検のために開いていた。T/Bの防護扉は開いていたが,シャッターは閉まっていた。
  • 普段は建屋から待避するとき,汚染がないかをチェックするが,3.11のときもそうだったが,避難優先なので,ゲートを開けっ放しにするときもある。
  • 水密化はハードの対策だが,防潮堤や防潮板,水密化,消防車などの設置の他,通信設備などを整えないと津波対策は十分に出来ないと思う。可能性として事故の程度は軽くなる。
  • 平成20年6月当時は,原子力本部の立地地域の技術広報を担当していて,国や自治体対応の窓口業務を担っていた。
  • 平成20年6月10日の武藤さんなども参加した打ち合わせにも呼ばれて参加した。自分は自治体説明を中心になってやる立場なので課題は早めに知らせておいた方が良いと言うことで呼ばれたのではないか。
  • 打ち合わせの中で,土木調査GのGMの酒井さんと高尾さんが津波高さの説明をしていた。地震本部の見解をどのようにあつかうのかという説明があり,このなかで15メートルを超える津波の高さという話が出た。
  • それまで5.7メートルだとか,6.1メートルという津波高さの話しか聞いていなかったので,かなり違和感を覚えた。驚きでもあった。
  • 当時,耐震バックチェックなどを県に説明する立場だったが,津波については当時,自治体から聞かれたことはなく,東電の想定が甘いと指摘されたこともない。また世間も含めて話題にもなっていなかった中で,こんなに大きくなることに違和感を覚えた。
  • この打ち合わせの中で,高尾さんや酒井さんから,今のまま原発を運転するのは危険といった発言等はない。彼らも地震本部の見解をどう扱って良いのか悩んでいて,相談を持ちかけてきたのではないかと思った。
  • 対策について具体的な中身はなかった。
  • 防潮壁を設置するという話にまで進まなかった。
  • 弁護側が東電から任意で受けた当時の6月10日の会議資料を示す。
    (地震本部の見解をベースに土木調査グループが津波試算を色で示したもの。資料では左側に東電設計のシミュレーション結果が示され,右側に枠囲みで,「OP10メートル盤に約10メートルの壁を立てることが必要」と記されている。さらにその下に,敷地境界線に沿って南北に10メートルの防潮壁があった場合,この壁に当たって遡上する津波の高さを想定した棒グラフが示されている。このグラフの結果,敷地の南側にあたる4号機付近がもっとも高くなっていることが示されている。)
  • 壁を作るには,漂流物や10メートル盤には広さがないので,基礎となる土台を作れるかを検討しなければならない。ただ打ち合わせの場では,具体的な議論はなかった。
  • (海水取水配管や排水管の位置関係を1~6号機について示す。このために15分程度かけて,敷地内の循環水の配管の位置を図示させた)
  • 海水取水配管などは2メートルを超えるものもある。防潮壁をつくる工事がこの配管に干渉すると思うが,そのための工事方法に関する議論はなかった。
  • 6月10日の会議で私は特に発言していない。会議後,高尾さんと立ち話を交わした。この中で,従来の津波想定に対して試算が極端に大きいので,どれほどの精度があるのか聴きたかったが,その精度について細かくは回答を得られていない。質問に対する回答は覚えていない。違和感が取り除かれなかった記憶がある。
  • 酒井,高尾,金戸さんのいる土木調査グループは津波に関して高さ想定を担当している。実際に壁をつくる対策を行うとすると,機械や電気,建築,土木が対策を検討することになるはずであった。

(今回の尋問の中では指摘されなかったが,この6月10日の会合には,吉田昌郎,山下和彦,酒井俊朗,高尾誠,金戸俊道及び機器耐震技術グループ,建築グループ,土木技術グループの担当者が出席し,被告人人武藤に,地震本部の長期評価を取り上げるべきとする理由及び対策工事に関するこれまでの検討内容等について,多くの資料を準備して報告している。)

  • (この資料をみて,あなたならどこに壁を作る必要があると思うか?)
    シミュレーションの結果から見ると敷地の南側が津波が高くなっている。4号機の前当たりから敷地の海側に壁をつくる必要があると読み取れる。白い部分は津波が来ないというのがシミュレーション結果である。

(この点も,弁護側の説明によれば,このシミュレーションは,南北に敷地境界沿いに10メートル盤に10メートルの防潮壁を立てた場合に,どこに津波が遡上するかという解析の結果を示すものということであるから,津波が南側だけに来るという内容のものではなく,その説明は不合理である。)

  • 平成20年7月31日の打ち合わせ,参加したかどうかは記憶にない。
  • 土木学会に検討を依頼することになったことは知っていた。
  • 土木学会の津波評価技術は他でもやっている。学会の先生に決めてもらうのは妥当なことだと思う。
  • 対策するとして,県に説明するのは,土木が担当するが,窓口として私も一緒に担当する。
  • (バックチェックで土木学会に依頼するのはどうか)
    バックチェックはいろいろな先生が出る。必ずしもみなさんが同じ考えであるわけではない。スムーズに進めるために土木学会で合意を得ることは妥当な方法である。
  • (対策が終わるまでは福島第一原発は停止すべきだと考えていたか。)
    緊急性があるとは考えていない。停止すべきとは考えてない。

E 指定弁護士反対尋問

(山内弁護士)

  • (水密化工事をしても開け閉めはできるのではないか)
    そのとおり
  • (水密化していれば,事故の程度は軽くなるのか)
    水素爆発,全電源喪失に至らないとか細かい算定できないが,どの程度軽くなるかわからない。炉心損傷に至らないことも対応の程度によってはありうる。
  • (平成20年6月10日,15メートルを超える津波に違和感を感じたと証言したが,15メートルを超える津波,計算そのものに誤りがあるということか)
    地震本部の見解,世間的に関心になっていなかった。自治体も津波高さを評価していて,意見交換している。県より東電の方が少し高いが,ほぼ同じ高さである。地震本部の見解出て,対応が必要だということは聞こえてこない。なぜ今これが必要なのかという違和感があった。
  • (高尾氏との立ち話で違和感が消えなかったと証言したが,高尾氏の説明についての記憶はあるのか。)
    それはない。
  • (15メートル超える津波評価は地震本部の見解に基づいているという認識はあったのか。)
    そういう説明はあったと思う。
  • (あらためて違和感の理由を説明して欲しい)
    もし地震本部の見解に基づいて対応する必要あるというのであれば,我々や自治体に対するいろいろな話が出ていたはず。課題としてとらえるという話題になっていない。
  • (長期評価について,証人自身の考え方ではなく,まわりから話がなかったということにつきるのか)
    はい。
  • (証人自身には,そういう風に考える根拠はないのか)
    はい。それはない。
  • (バックチェックのことが話題になったという記憶は)
    話題になっていると思う。
  • (バックチェックが通らないかもという話は?)
    そういう記憶はない。細かいことは記憶にない。バックチェックの中でどう扱うかということで出てきた。バックチェック,いろいろな先生がいる。もし,意見が出てきたり,どういう話がでるかわからない。
  • (場所は)
    本店
  • (時間は)
    覚えてない
  • (資料は)
    配られた。受け取った
  • (どういう資料か?)
    津波のことが示された資料。鉛直壁を作ったときの解析は覚えていない。弁護側が示した資料の図は見た覚えある。
  • (防潮壁については?)
    津波が,南側からくるということは聞いていた。対策がどこまでどういうふうにという議論は覚えていない。
  • (1F津波対策として,防潮壁の工事難しいという話をされたが,東電の社内事故調の報告書にある4つの対策をとることは難しかったということか?)
    実際に防潮壁を作るとなると,1Fにつくるのはかなり難しい仕事だったと思う。
  • (東電の報告書は対策工事していれば防げたとしている。実際には難しいということか?)
    難しいというのは,不可能かどうかというとそうではない。可能ではあるが,大がかりになるということだ。
  • (10m盤に10メートルの壁をつくることは)
    不可能ではない。干渉する建物,設備を移築するなど,大がかりになるということである。
  • (東側全面に防潮壁を作ることになったのか?)
    想定に対して対策とることになる。もしこれが想定だとすると南側に作ったのではということだ。従来の対策は,津波評価,設備に応じて高さを出して対策を取っている。こちら側に対応したとしても,全面に作ったかどうかは・・。
  • (南側に作るとして,その北の端はどう決めるのか)
    この図が具体的なものを表しているとは思わない。具体的なことは検討を踏まえて,設置場所が決まっていくことになる。
  • (ということは,ただちに南側だけにすればいいということにはならないのではないか)

(久保内弁護士)

  • (事故前の津波高さ,6.1メートル。6メートル以下の津波対策を考えていたのか)
    6.1メートルは5・6号機の高さ。それぞれの高さのところで対応策考えていた。
  • (10メートル盤で考えたことは)
    ない。
  • (個別の津波対策の工事,自治体への説明の問題は)
    存在する。検討する必要がある。
  • (上津原さんの専門は)
    主に機械系メンテナンス,建設系
  • (津波は)
    専門外

F 弁護側再主尋問(宮村弁護士)

  • (この計算結果から,ただちに鉛直壁はどこに建てるか決まらないとは)
    対策はほかの対策との組み合わせなので,ただちにどこにどういうものをつくるかは決まらない。
  • (これは解析したものか)
    はい。
  • (あくまで想定を元にするものなので,これをベースにするということか)
    はい。

G 指定弁護士再反対尋問(石田)

  • (対策は,具体的には誰が立てるのか?)
    電気系が関わってくるなら,電気・機械系,強固な建物なら建築のようなところで議論することとなる。
  • (長期評価に基づいて,具体的な対策が3・11前に行われていたのかどうか)
    それは知っている。

H 裁判官補充尋問
(陪席今井)

  • (6月10日の会議に武藤被告人は出席していたか。)
    出席していた。
  • (どのように会議は進んだのか。)
    酒井氏から津波高さが15メートルを超えるという説明があった。
    土木グループとして悩んで相談するという感じだった。
    対応は決まらず,先送りされ,次回まだ議論すると言うこととなった。対策をもう一度説明して欲しいと言うことになった。
  • (次の会合は)
    出ていないが,土木学会に相談することとなったと聞いている。

(裁判長永渕)

  • (弁護人の提示資料3(前掲)示す。この紙でどのように説明がなされたのか。)
    左側の説明があった。右側の下の図についてどのような説明があったかは,記憶がない。
    政府の推進本部の見解にもとづいて計算するとこんな大きなものになった。バックチェックの審査が滞るかもしれない,どう対応したものか,対策を考える必要があるというような内容だった。
    次回までに土木学会に説明するということとなったのだと思う。

I 指定弁護士追加反対尋問(石田)

  • (当日示された資料はこれだけではないね)
    ほかにもあった。それほど多くはなかった。
  • (文字で書かれた資料もあったのでは)
    覚えてない。
  • (対策工事,工程表などは)
    自分は,後に東電の社内調査報告書をまとめたので,そういう資料も提出されたことを知っているが,当時の記憶としては,記憶がない。

以上