2018年7月11日 第20回公判期日報告「証人 堀内友雅氏」:監修 海渡雄一

2018年7月11日 第20回公判期日報告
証人 堀内友雅氏

作成:佐藤真弥
監修:海渡雄一

弁護人8人 指定弁護士5人 被害者代理人3人
(凡例… 指:指定弁護士資料  弁:弁護人資料)

開廷9:57
裁判長:お名前を言ってください。
堀内:堀内友雅(ほりうち・ともまさ)です。
証人宣誓
裁判長:それでは、検察官の方から。
山内:指定弁護士の山内(久光)から。
証人の勤務先と経歴についてお聞きします。現在の勤務先は?
堀内:東京電力ホールディングス株式会社の福島第一廃炉推進カンパニー。
山内:入社したのはいつ?
堀内:平成6年。
山内:経歴書を示す。この通りか?
堀内:はい。
山内:経歴書によると、平成19年8月から平23年7月まで本店の原子力設備管理部の土木技術G(グループ)に所属と?
堀内:はい。
山内:土木技術Gは、どういう業務内容か?
堀内:土木設備の、計画、検討など。
山内:津波に関してはどうか?
堀内:……質問の意味が解りません。
山内:土木技術Gではどういう業務をしていた?
堀内:私の赴任は平成19年8月。土木設備全般。その後、土木調査関係も同じグループでやった。耐震性、構造物の検討。中越沖地震を踏まえて、その後グループは主に耐震重要性がそれほど高くない構造物、柏崎刈羽原発の例で言えば耐震Cクラスを担当した。その後、東通原発の新設の検討をしていた。
山内:土木調査Gの業務は?
堀内:原発を造る上での算定、活断層・津波評価の担当部署。
山内:土木耐震Gの業務は?
堀内:原発の、耐震重要度が高い、非常用発電系、海水の取水部とか、設備の設計。
山内:土木技術G、土木調査G、土木耐震Gの違いは?
堀内:土木調査Gは設計条件の基となる津波や地震の設定をやる。耐震Gは耐震重要度の高いところを担当する。それ以外は土木技術Gと思ってもらっていいです。
山内:機器耐震Gは?
堀内:発電所の中。建物内の設備そのものを担当する。
山内:建築Gは?
堀内:地震動評価、建屋全般の設計業務。
山内:平成20年4月ごろ、証人は福島第一原発の設計上の津波水位が高くなると聞いたか?
堀内:はい。
山内:何で聞いた?
堀内:土木調査Gの依頼で。同じ(土木技術)グループのメンバーから聞いた。
山内:それ以前には聞かなかったか?
堀内:もしかしたら聞いたかもしれない。記憶はない。
山内:平成18年9月に改訂された耐震設計審査指針に基づくバックチェック(BC)は知っていたか?
堀内:はい。
【指1 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 議事録 2008.4.23】
出席:金戸(俊道)、小林、高井
山内:この打ち合せのことは知っているか?
堀内:はい。
山内:経緯は?
堀内:津波水位の速報が出て、共有したのだと思う。
山内:出席者の高井さんはどんな人か?
堀内:私と同じ(土木技術)グループの主任。
山内:高井さんから報告は受けたか?
堀内:今の記憶では…議事メモの前に口頭で、非常に大きな津波評価が出たと聞いた記憶がある。
山内:具体的にはどのような報告か?
堀内:水位の数値は分からないが、非常に高い壁を造らないといけないと聞いた。
【指1 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 議事録 2008.4.23】
「主な議論」 想定津波10数m R/B、T/B、C/B等、浸水は主要建物に対し致命的
山内:このような報告を受けていたか?
堀内:受けていた。
山内:「壁設置の場合、対外的なインパクトが高く上層部の意見を聞く必要がある」、これに記憶があるか?
堀内:ある。
山内:資料を示します。資料2と3、よく見てください。
【指2 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料 2008.4.18】
【指3 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料 2008.4.18】
山内:これらは、この打ち合せで配布した資料。見た記憶はあるか?
堀内:はい。
【指3 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料 2008.4.18】
山内:資料3の2枚目、下の欄、「敷地南側の津波高さ OP10m 15.707」、こういう数字の記憶はあるか?
堀内:数字はよく覚えていない。
山内:敷地北側は13.695と赤文字であるが、記憶はあるか?
堀内:数字は記憶がない。
山内:打ち合わせの報告を高井さんから聞いたとき、津波対策は必要と聞いたか?
堀内:高井さんから?
山内:はい。
堀内:高井さんからは、非常に高い壁を造らないと浸水する。壁は、背が高くて大変な壁になると。造る造らないまで決めたとは聞いていない。
【指2 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料 2008.4.18】
「中越沖地震踏まえた」
2枚目「1. 1F鉛直壁設置した場合の検討」
山内:6行目、「防潮壁」「鉛直壁」「敷地OP10mに鉛直壁OP20mを設置」、すごい壁とはこれのことか?
堀内:はい。
山内:高井さんの報告を聞いて、土木技術Gはどんな仕事になると思ったか?
堀内:何らかの津波工事、防潮壁が必要になると思った。
山内:その後、4月23日の打ち合わせの後、土木技術Gとして、土木調査Gがどのような検討をしていたか知っていたか?
堀内:普段のやり取りの中で話を聞いていた。
山内:どのような?
堀内:陸上に壁を造るなら高い必要がある。海の中に防潮壁のような壁を色々レイアウトして検討できないかと。
山内:当時、土木技術Gと土木調査Gや土木耐震Gとは、席は近かったのか?
堀内:と、思う。
山内:普段やり取りをしていた?
堀内:すぐ話ができる状態にある。
山内:平成20年6月10日に、金戸、高尾(誠)、酒井(俊朗)、武藤(栄)らが同席した打ち合わせの記憶はあるか?
堀内:はい、記憶はあります。
山内:証人は、なぜ呼ばれたのか?
堀内:おそらく、私は海の工事を担当していたので、専門的な話をするために呼ばれたと思う。
山内:「海の工事」と言ったが、担当は海の工事だった?
堀内:当時、海の工事が多かった。
山内:どのような?
堀内:東通の港湾工事。港の設計。それ以前にもした。
山内:6月10日の打ち合わせは、武藤さんからどのような話がされたか?
堀内:全体の記憶はないが、私に、海に防潮堤を造る際の許認可について調べるようにと。
【指4 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
山内:資料を全部見てもらえますか?
堀内:(資料を見る)
山内:今示した資料のうち、一番最後は議事録だが、その前の19枚は覚えているか?
堀内:すべては覚えていない。一部は覚えている。
山内:誰が説明した?
堀内:酒井さんが主に。
山内:高尾さんではなく?
堀内:津波ハザードは高尾さんだと思う。全般的なメインは誰か……酒井さんと思うが、ぼんやりと。
【指4-2 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
山内:右上の図面は最大浸水図。O.P.15.7m、O.P.13.7m。右下はO.P.20m、O.P.10mに約10mの壁が必要と。そのような説明がなされたか?
堀内:正確に覚えていないが、防潮壁でやると10mが必要いう資料だ。
山内:武藤さんの反応は?
堀内:覚えていない。
山内:武藤さんは何か言ったか?
堀内:記憶が全くとんでいて、思い出せない。
【指4-19 武藤打ち合わせ資料 メモ 2008.6.10】
出席者:酒井GM、吉田(昌郎)、山下(和彦)、金戸、高尾、堀内、
山内:メモに、「福島地点津波評価説明をし、以下のコメントがあった」、とある。(武藤の)4点のコメントの記憶はあるか?
堀内:3つ目の、「沖合に防潮堤を設置するために必要となる許認可」、は記憶がある。他は、見ればそうだったかという感じ。
山内:出席者について、他の人が呼ばれた理由は?
堀内:私が呼んだ訳ではないので。……おそらく、浸水するという事で、建物や機器耐震Gを呼んだのではないかと想像する。
山内:再度打ち合わせを行うとされたか?
堀内:そう思う。
山内:証人はこのとき発言したか?
堀内:記憶はない。
山内:6月10日の打ち合わせのあと、土木調査Gは武藤コメントの検討について何をしていたか知っているか?
堀内:沖合防波堤の解析をしていたのは知っていた。
山内:武藤コメントについて、証人は何をした?
堀内:沖合防波堤の許認可の手続きにかかる時間を調べた。
山内:7月31日の会議の資料を作成したか?
堀内:はい。
【指5 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
山内:資料を示す。順番に見て、証人作成の資料はあるか?
堀内:はい。
山内:どれか?
堀内:5-4、5-5、5-6。
【指5-4 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
「港湾関係許認可」
山内:説明してください。
堀内:海に設備や施設を造る際の許認可、届出で、法律に基づく概要。
【指5-5 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
「防波堤の設置に伴い留意すべき事項」
山内:どういうものか?
堀内:法律規制以外に、配慮すべき事項は何か。経験を踏まえたもの。
【指5-6 工程表】
山内:どういうものか?
堀内:実際造る場合を踏まえて、どのくらいの期間で工事までに至るかの工程表。
山内:それぞれ具体的に説明を。
「国・県への説明として」は?
堀内:国や福島県への説明におよそ2か月。
山内:その下「海浜変形予測解析」とは?
堀内:海浜変形予測解析とは、海岸にどういう影響があるかを予測する。すぐスタートして、全体で6か月かかる。途中、一次評価は3か月で。
山内:その下、「温排水拡散予測」とは?
堀内:海に設備を作ったら、発電所からの温排水がどのように拡散して影響するか。計画スタートから始められて、3か月。
山内:4か月後にスタートし、9か月後まで棒グラフが伸びている、「水温追加調査」とは?
堀内:温排水拡散予測の後からスタートし、半年で。
山内:漁業権補償交渉は、7から12か月目まで(棒グラフが)黒塗りで、後ろの方が点線で白抜きになっているが、なぜか?
堀内:変更が生じる場合がある。交渉が必要になるかもしれない。点線は相手(漁業者)がいるから不明確だという意味。同意書が確実に得られるか分からないということ。点線の先は、18か月で止まっているが、どこまで続くかわからないから。
山内:備考の欄のところ、「有力である数ケースに対し実施」とは?
堀内:すべてやるのは大変。まず数ケースに絞り込んでから。範囲が広がったらやる。
山内:その下、「防波堤設計」は、4か月目のところから予備検討となっているが?
堀内:2か月後に有力案として、粗々の検討から始め、それから基本設計を。3か月あれば基本設計ができて、漁業権交渉ができる。実施設計が6か月くらい。
山内:「許認可」のところについて説明を。
堀内:水域施設は、ヒアリングをして届け出を出すのに3か月程度。
山内:「プレヒア」とは、プレヒアリングか?
堀内:はい。
山内:基本設計と実施設計について説明を。
堀内:高さ、幅など、大まかなものが基本設計。実施設計は、詳細な数量など発注のために必要なものや、付帯設備を含める。
山内:「積算・契約」が13か月目から15か月目。これは?
堀内:実施設計が固まったのち、工事発注にどのくらいの工期、費用で工事の会社に発注するか。
あ、ひとつ訂正したい。資料のミスがあった。いま見つけてしまった。契約が、6Mのところが3か月しか描いていない。
裁判長:6M、つまりシックスマンスとあるが、棒グラフの線は3か月しかないと?
山内:(棒グラフの)右側に3か月分棒引きが足りない?
堀内:通常契約は6か月だが、緊急契約なら3か月分不要になると思ってグラフを縮めたのかも。(文字の方は修正されずに)それで6Mとなったのでは。
山内:備考欄に「緊急発注」の記載がある。これのことか?
堀内:そうかもしれない。当たるものはそう。
山内:緊急性がある場合、時間を掛けず、すぐに発注できるということか?
堀内:案件によってはそう。
山内:そういう緊急の案件であると考えたという事か?
堀内:こういう設備を造ると決まった案には、時間をかけることを考えない方がいいのではと考えた。
山内:「防波堤工事」、着工が16か月目からと?
堀内:契約をして着工。今までの経験から、1年に600mと。防潮堤規模が分からないので、おしまいを示していない。
山内:防潮堤と防波堤で違いがあるのか?
堀内:正確には防波堤だが、構造は一般の防潮堤と同じだから、いいのではないでしょうか。
山内:表によると16か月目から着工すると?
堀内:最短でこのくらいと。
山内:1年に600m造れると?
堀内:その通りでございます。
山内:海の工事は以前から経験があった?
堀内:はい。
【指5-1 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
「(2)沖合防潮堤設置に必要となる許認可」
山内:これが証人の説明に対応するものか?
堀内:はい。
山内:その上のところ、「防潮堤建設のオーダーとしては数百億円規模」。これはどう計算したのか?
堀内:私の経験による概算。深さ20mで試算した。値段は規模によって違う。水深の深さによって。深さ1mに長さ1mで100万円、水深20mだと2千万円、それが長さ2千mで、ざっくり計算して数百億円規模と。
山内:2千mというのはどこの長さか?
堀内:敷地前面、東側の沖合の、北から南にわたって。
【指12 福島第一平面図】
山内:証人が言った2千mは、福島第一の港の全部の長さになるか?
堀内:この港の南北は2千mもないので、もうすこし長いものになる。
山内:この図の下の500mスケールに照らすと、福島第一の前面の北から南まで一直線で…ほぼ2千m?
堀内:目安として、外側の線が敷地境界の線。敷地は3Km。防波堤の幅より広いことがわかる。
山内:確認すると、敷地の北側と南側の端まで3Kmと?
裁判長:北側の端は、「周辺監視区域」という文字のあるこの辺り、南側は敷地境界と書いてある線か?
堀内:はい。
山内:証人は7月31日は出席したか?
堀内:したかもしれない。記憶に残っていない。
山内:7月31日の前でもいいが、この資料を土木調査グループに、酒井さんや高尾さんに説明したか?
堀内:メールも含めて説明した。
山内:酒井さんないし高尾さんに、7月31日に武藤に説明するための基礎資料を作った堀内さんが説明したということか?
堀内:そうです。
山内:7月31日の打ち合わせの結果は聞いたか?
堀内:当時の記憶は忘れた。
山内:この会議の後、土木技術Gとしてはどういうことになったか?
堀内:グループとして、あまり関わりが無くなった。
山内:どういうことか?
堀内:沖合防波堤に頼らない対応をとる方向になったから。
山内:なぜ?
堀内:沖に防波堤を造ると、波が遮られて南北に行く。近隣の波の遡上に影響があったのでは。
山内:その話はどこで聞いた?
堀内:会議の、どことかは覚えていない。もしかしたら、私自身が上の方に懸念を伝えたのかもしれない。
山内:7月31日の後のことについて聞きます。津波についての打ち合わせに出たことはあるか?
堀内:津波ワーキング、正式名称は覚えていないが、立ち上がって最初のころは参加した。
【指6-1 「日本海溝沿い津波に関する打合せメモ」 2008.8.6】
出席 安中、酒井、高尾、金戸、堀内、
山内:証人はこれに出たことはあるか?
堀内:忘れていたが、出ていた。
山内:(武藤打ち合わせの)すぐ後の会議。思い出したか?
堀内:はい。
山内:どういう打ち合わせか覚えているか?
堀内:中身は、7月31日の打ち合わせで東電としての方針が決まったことを踏まえて、太平洋側の(原発を持つ)会社と共有すると。
山内:証人または土木技術Gは、津波に対してどう関わった?
堀内:このあとか? このあとは、具体的には、目立った活動はしていないと思う。
山内:それはどうして?
堀内:先ほどの繰り返しになるが、沖合防波堤はさておいて、設備や別の、海の防潮堤でない対策になったからではないか。
山内:土木技術Gは、どういう段階になったら関わるのか?
堀内:沖の防波堤が必要となって指示があれば、動いていくことになったと思う。
【指7-1 高尾発メール 2009.6.30】
【指7-2 高尾発メール添付の資料】
山内:これの記憶はあるか?
堀内:はい。
山内:どういうものか?
堀内:2008年の7月31日の会議を受けて、各所に指示が出た。進捗が芳しくないようだ、改めて分担を明確にしたい、と発信したようだ…と記憶している。
山内:平成22年8月の福島地点津波対策ワーキング(WG)の開催は知っているか?
堀内:はい。
【8-1 第1回福島地点津波対策ワーキング議事録 2010.8.27】
山内:土木技術Gの都築さんが出席している。都築さんはどういう人か?
堀内:土木技術Gのグループマネジャー。
山内:何が話された?
堀内:改めて、……正確に言えないので…すみません。
山内:証人の記憶ではどういうものだったか?
堀内:改めて各部署から検討状況を持ち寄った。
【指9-1 第2回福島地点津波対策ワーキング議事録 2010.12.6】
【指9-2、9-3】
山内:WG第2回目の議事録に、証人の名前がある。どういう内容だったか?
堀内:引き続いて検討する、というくらいしか記憶がない。
【指10-1 第3回福島地点津波対策ワーキング議事録 2011.1.13】
山内:土木技術Gは出席していない。
【指11-1 第4回福島地点津波対策ワーキング議事録 2011.2.14】
山内:土木技術Gは出席していない。出なくなったのか?
堀内:そのように記憶している。
山内:なぜ?
堀内:陸に防潮堤を造る場所の屋外には、既設の、耐震設計に影響のある同様な構造物がある。担当する土木耐震Gに検討が行った。
山内:私からは以上です。
 神山:指定弁護士の神山(啓史)から。
土木技術Gは耐震Cクラスを担当し、耐震重要度が高いものは土木耐震Gだと言った。耐震重要度が高い施設とはどんなものか?
堀内:大きな地震があった時、安全に直結する設備。海水が通る非常用取水路、ディーゼル発電機、軽油タンクの基礎などは土木耐震Gで受け持っている。
 神山:土木技術Gの担当の、耐震Cクラスはどんな構造物か?
堀内:その他、道路、変圧器の基礎、放水路、水があふれても直接影響を及ぼさないもの。
主尋問終了

反対尋問
易:武藤の弁護人の易(智久)からお尋ねします。
堀内さんの担当業務について。
【弁1-1 「職務権限規程」】
2007.4.16施行 2008.7.1改訂 原子力設備管理部
【弁1-2】
易:弁護士資料1の2、3ページに、土木技術Gの業務内容で「土木設備技術」とある?
堀内:はい。
易:下の表。土木耐震Gの業務内容は「新潟県中越沖地震に関わる~」とある。「土木設備」というのは、あらためて、どのように区別されているか?
堀内:土木耐震Gは、大きな地震への耐震健全性がある、非常用ディーゼル発電機、軽油タンクの基礎など。それ以外は土木技術G。
易:そのほかに、土木調査Gとの区別は?
堀内:土木調査Gは、設備設計の検討ではなく、活断層、地盤、津波評価等、入力をどうするかを決める。
易:津波を例にとると、どこまでが土木調査Gになるか?
堀内:敷地津波高さの算定まで。
易:土木構造物を造るときに、計算結果を土木調査Gから受け取ると?
堀内:実際にやるときはそうなる。
易:土木技術Gや土木耐震Gで、水位評価を受け取った後、上積みをすることはあるか?
堀内:ない。評価を変えることはない。
易:堀内さんは、海の上に設置する構造物が担当だと?
堀内:はい。
易:陸の上がメインの担当者はいたか?
堀内:いた。
易:平成20年はじめ、福島原発の津波水位の計算をしたことがありましたね?
堀内:はい。
【指2-1 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料 2008.4.18】
鉛直壁設置した場合の検討
【指2-4 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料 2008.4.18】
「1F 鉛直壁を設置した場合の最大津波高さ分布」
易:この記憶はあるか?
堀内:はい。
易:平成20年4月ごろか?
堀内:おそらくそのころ。
易:鉛直壁という言葉が出てくる。どのような壁か?
堀内:この解析の鉛直壁は、津波が来た場合、敷地に水を入れないための、無限遠の高さの壁を想定している。
易:厚さは?
堀内:解析上、全く考えていない。
【指2-2 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料P1 2008.4.18】
易:同じ資料の1頁、上のところ、「鉛直壁 OP20」とある。同じ意味か?
堀内:私はそう認識している。
易:対策のためであり、実際に造るためではない?
堀内:私の理解では、OP 20mは最初からこの高さではなく、無限高さで解析して、20mまでなら敷地に水が入らない、その解析の結果だと認識している。
【弁2-4 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料 2008.4.18】

神戸地方裁判所に提出された乙B15-2号証から引用
(神戸地方裁判所に提出された乙B15-2号証から引用)

易:この図から分かるか?
堀内:設定は2か所。1~43までの数字は、平面図からの矢印に対応する。北側の付け根、6号機の北が1番。上の図の43番は5号機。同様に、44番から136番、この範囲に防潮堤を想定した。
易:10m盤と13m盤に設定したと?
堀内:モデル上の設定という認識だ。
易:東側全面、東側の正面に置く設定が決まっていたのか、それともこの資料を見てから決めようと?
堀内:後者。解析の結果を見て範囲を決定する。
易:10m盤への遡上を防ぐには、どの方向の波に対策すべきか?
堀内:60番から100番は水位を見ると(波が)来ない。この区間の防潮堤は、建屋浸水を防ぐのには不要。それ以外は高い壁が必要。
易:壁を立てたという前提で聞く。この前提だと、どの範囲に壁を立てるか?
堀内:1から15か19番、50から60番、100から136番の3か所。
易:上のグラフの水色のところに壁を立てると?
堀内:そう思っている。
易:当時、このグラフを見て、東側全体に壁が必要という発想を持っていたか?
堀内:持っておりません。
易:堀内さんは、6月10日の武藤の打ち合わせに出席していたか?
堀内:はい。
易:海の上の構造物に詳しい堀内さんが出席したと?
堀内:そう認識していた。
【指4-17 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
【指4-18 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
易:これらは6月10日に配布された。見たか?
堀内:はい。
易:作成したのは誰か?
堀内:土木調査Gだと思う。
易:実際に造るとしたら堀内さんのグループか?
堀内:そうです。
易:沖合防波堤を造るための設計か、それとも水位評価の段階か?
堀内:後者だと思う。
易:土木技術Gには、陸上(構造物)の担当者は居たか?
堀内:はい。
易:その人は、平成20年6月10日の打ち合わせに参加したか?
堀内:いいえ。
【指4-2 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
易:6月10日に配布された資料。右下、OP10mに約10mの壁とある。
【指4-4 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
易:下に、防潮堤のみでは10mの壁が必要、とある。建てることが可能であるか、いずれかのGで検討したか?
堀内:おそらくしていない。
易:検討スケジュールを作ったのは?
堀内:土木調査Gだと思う。
易:土木Gの、酒井さん、金戸さん、高尾さんから事前に相談を受けたか?
堀内:記憶はない。
易:敷地対策は、平成20年10月までにこのスケジュールで設計を終えられるか?
堀内:不可能です。
易:何のためのスケジュールか?
堀内:今の認識でいいか?
易:はい。
堀内:どんなものを造ればどのくらいの効果になるかと。設計はそのあとになる。
易:土木調査Gで完結するスケジュールということか?
堀内:完結かはわからないが、土木調査Gの検討を示したもの。
易:11月より右は白抜きの矢印だが?
堀内:10月までの検討を踏まえてその後、ということを示しているのだと思う。
易:6月10日が終わった時点で、対策をとる方向性は決まったか?
堀内:直ちに対策を取るという認識はない。
易:6月10日は、次回までに沖合防波堤についての許認可を調べるというのが堀内さんの宿題か?
堀内:はい。
易:10m盤に10mの壁は、許認可は必要か?
堀内:無いと思う。
易:沖合防波堤だけ(調べるよう指示された)という理由は?
堀内:敷地内の作業となれば普通に工程が考えられるが、海はよく分らないし、しかも(防波堤が)長い。よく知りたかったのではないか。
易:将来建てるつもりで指示をしたのか?
堀内:選択肢として押さえるためだと思う。
【指5-4 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
港湾 東通を参考に
易:堀内さんが作成した?
堀内:はい。
【指5-5 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
防波堤の設置に伴って留意すべき事項
易:堀内さんが作成した?
堀内:はい。
【指5-6 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
易:堀内さんが作成した?
堀内:はい。
易:沖合防波堤の設置位置、高さを想定したか?
堀内:いいえ。
易:それらが具体的に決まっていなくて検討できるか?
堀内:防波堤と同じ構造なら技術的には可能。
【指5-1 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
福島地点の~
易:防波堤はオーダーとしては数百億円規模だと?
堀内:はい。
易:これは2千mと仮定しての概算だと。
堀内:はい。
易:確かな記憶か?
堀内:1.5Kmか2Kmか…。
易:厳密には覚えていないと?
堀内:はい。
【指4-17 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
易:沖合防波堤の、3つの案があるが?
堀内:位置は変わらず、3つの高さの違いだ。
【指4-18 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
易:角度を変えて3つのケース?
堀内:はい。
【指5-3 武藤打ち合わせ資料 2008.7.31】
「津波に対する対策上の検討」
易:7月31日の資料。3つのケースがある?
堀内:はい。
易:9ケースいずれも敷地南側にフォーカスしている。何故か?
堀内:敷地南側水位が非常に高い。正面からは浸水しない。南側を少しでも抑制するため。
易:堀内さんが沖合防波堤を概算した時、いずれかのアイデアが決まっていたか?
堀内:決まっていない。イメージもしていない。
易:先ほど主尋問で、防波堤で波が両脇に流れて近隣住民が迷惑するという話があった。その話を最初に言ったのは誰?
堀内:私かもしれない。
易:誰に言った?
堀内:設備管理部長の吉田(昌郎)に何らかのときに。
易:土木技術Gは、防潮堤や防波堤の設計をする場合、設置高さや範囲を決める必要があるか?
堀内:はい。
易:そのためにどのような情報が必要か?
堀内:遡上高さや範囲の確定した数値。
易:福島第一の、具体的、確定的津波水位は提供されたか?
堀内:いいえ。設計のためのものはない。
易:平成23年3月11日までに津波への対策が取れるという認識はあるか
堀内:私は認識ない。
 宮村:武藤の弁護人の宮村(啓太)から。
指定弁護士の質問に、平成20年4月当時、土木技術Gの高井さんから報告を受けたと答えた。平成20年4月ごろの堀内さんの認識として、何らかの対策工事が必要になってくるんだろうなと思ったということか?
堀内:はい。
 宮村:それは、高い壁を造らないといけないと認識した、ということで、高い壁を実際に造るとは聞いていない、というふうに理解してよろしいでしょうか?
堀内:高い壁を造らないと浸水することになり大変だと聞いた。
 宮村:土木調査Gの計算で、高い水位が出てきたと?
堀内:はい。
 宮村:それを前提とした対策を取ることが決まっていると聞いたか?
堀内:そのような記憶はない。
 宮村:仮に、報告された水位を前提にすると、高い壁が必要だということか?
堀内:はい。
【指2-2 「1F/2F津波水位に関する打合せ」 配布資料 2008.4.18】
「1F鉛直壁を設置した場合の検討」
 宮村:指定弁護士からの質問で、「すごい高い壁とはこのことか」と聞かれ、「はい」と言いましたね?
堀内:はい。
 宮村:土木調査Gの水位を前提とすると、この壁が必要と認識していたか?
堀内:これは全体に壁がある。全部に必要とは認識していない。
 宮村:OP20mが必要になるところがあるということか?
堀内:陸上の対策だと高い壁が必要だと。
 宮村:沖合防波堤についても、設定の計算で、土木調査Gとやり取りをしたことがあるか?
堀内:先ほど以外にも、状況を聞いてディスカッションした。
 宮村:沖合防波堤において、敷地の東南東、敷地の崖の基部の水位を低減するのが目的だったのでは?
堀内:最初のころはそうだと思う。その後、4m盤にも浸水するから、それを緩和する意味で港の前面について検討を実施したと。
 宮村:10m盤ではなく、4m盤への対策だと?
堀内:私はそういう記憶。
反対尋問終了

補充尋問
裁判長:平成20年7月31日の打ち合わせで、防潮堤(防波堤)の建設費が数百億円と報告したと。深さ20mくらいで、長さ1.5から2Kmの防潮堤で数百億という計算だということでいいか?
堀内:はい。
裁判長:深さ20mや長さは、どこから出した数字か?
堀内:深さは福島第一の港の先端が10mくらい。実際の深さは10数mくらいだが、港全体をカバーするなら、そのくらいと置いた。
裁判長:その前の6月10日の会議の際に示された沖合防波堤の、資料4の17と4の18だが、ちょっと映してください。
【指4-17 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
裁判長:一番左の図に、6.5m、水深約8mとある。
【指4-18 武藤打ち合わせ資料 2008.6.10】
裁判長:これにも水深約8mとあるが、この図を踏まえて建設費用を考えたか?
堀内:この図をイメージしていない。もっと沖合をイメージしていた。
裁判長:平成22年8月から津波対策WGをスタートしたと。(指定弁護士)資料8全体と資料9をご覧いただくと、出席者、配布資料、議事録と、土木技術Gから話をされた形跡がない。証人は第1回は出席していないが、(土木技術GMの)都築さんが出席している。第2回は証人が出ている。土木技術Gで話をした記憶はないか?
堀内:土木技術Gから検討を話した記憶は無い。
裁判長:土木技術Gからの検討を話す状況では無かったと?
堀内:そうですね。これの議事があって、土木調査Gの報告で、「本件は中断中」とある。特に話す状況では無かった。
裁判長:予定よりかなり早く終わりましたが…終わりです。それでは弁護人、退廷してください。次回の期日は既に指定済みです。予定通り10時から行います。次回は別の証人の尋問を予定しています。では、傍聴席、退席してください。
閉廷11:55