「1日も早く裁判を!福島原発事故被害者集会」開催レポート

11月27日、いわき市の労働福祉会館で、「1日も早く裁判を!福島原発事故被害者集会」が開催されました。

佐藤和良団長あいさつの後、7名の原発事故被害者によるリレースピーチがあり、避難されている方の苦境や、福島県内で暮らしていることにまつわる苦悩、放射線測定や保養の取り組み、東電の不誠実な対応などの話がされました。想いを詩に込めて朗読された方もいました。双葉病院遺族の方からのお話もありました。

山内尚子さんのフルート演奏をはさみ、海渡雄一弁護士からは、刑事裁判に向けての現況と見通しについて、保田行雄弁護士からは、刑事裁判が開かれることの意義についての話がありました。

最後に会場に集まった全員で、「われらゆるがず」を歌い、武藤類子副団長のあいさつで閉会しました。


いわき市 トシユキさんスピーチ

「汚染水問題」と「東電交渉」などについての私の考えを述べさせて頂きたいと思います。

福島県いわき市在住:トシユキ

汚染水問題

東京電力の汚染水対策3 ヶ条は 汚染源を「取り除く」、汚染源に「近づけない」、 汚染水を「漏らさない」 だそうです。これは東京電力のHPに書いてあるのですが、この中で現在までに出来ている項目は一つもありません。

では項目ごとに具体的に見て行きましょう。
汚染源を「取り除く」ですが、現在までトリチウムは取り除いていません。お約束ですからトリチウムを分離して頂きましょう。

次に汚染源に「近づけない」凍土方式による陸側遮水壁ですが、海側は凍ったとしていますが一部は補助工法なので凍りませんでした。降雨による雨水対策はどのようにするのですか。

そして汚染水を「漏らさない」 ですが、海側遮水壁の上部が海側に傾いていますが大丈夫ですか。
最近フランジタンクの再利用が始まっていますが、一刻も早く溶接型に切り替えて下さい。
大規模な津波対策はどのように対応されるのですか?23mの津波が襲来したら建屋地下に貯蔵した高濃度汚染水は引き波で流出しませんか。原子炉建屋の止水対策などの実施計画を早急に示して下さい。

トリチウム水の扱いについて

現在まで漁業関係者の苦渋の決断により実施されている地下水バイパス、サブドレン、地下水ドレンによる放射性物質の浄化では、1 リットル当たり1500ベクレル以下のトリチウムは海洋へ放出されています。、法律による総量規制はなく、その累積は今月23日現在で、おおよそ1565億ベクレルとなっていて海洋へ放出されています。

今後の問題は地上に保管されているタンク内のトリチウムの扱いです。それらの総量はおよそ700~800兆ベクレルとのことです。
国は今年、トリチウムタスクフォースで、その取り扱いを検討し、「海洋への放出が安価で時間も掛からない」との報道もありました。

国と東電はトリチウムはベータ線を出しますが、WHOが定める飲料水の基準は1リットル当たり1万ベクレルですから、そのエネルギーは弱く「環境への影響はない」などとしています。原子力規制委員会は率先して海洋放出を提起しているというトンデモナイ有様です。

しかし、国は今月11日から新たに、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」を設置し、議論を開始しました。
今月18日に原子力規制委員会で行われた第48回特定原子力施設監視・評価検討会の席で更田委員は、この小委員会で「東電自らの意見を」と東電にその対応を迫りました。

安全なら、なぜこのように幾つもの検討会を開くのでしょうか、整合性が取れません。今後議事録も公表されるので市民による監視が必要です。

内堀知事は今月7日の記者会見で「漁業者関係の方々の理解が重要だ、それに対して国と東京電力は真摯に向き合うことが第一だ。現時点で委員会で意見を述べるような対応は考えていない」となぜか消極的な返答をしています。
そこで提案です、市民による意見を取りまとめ、この小委員会宛てに【トリチウム水を海に捨てるな!】との意思を表明してはどうでしょうか。

東電交渉

先に述べたように、いわき市で行われている東電交渉でも我々市民側は毎回汚染水問題を取り上げていますが、廃炉にかかわる作業員の労働問題や、今年4月に明らかになった3.11東電福島原発事故炉心溶融マニュアル隠蔽問題、情報開示の姿勢など、議論は多義に渡ります。
私は、事故後からの参加となりますが、東電からの説明は全く納得出来る内容ではありません。

その筆頭には東電からの「真摯に対応させて頂く」という言葉があります。辞書には「まじめで熱心なこと」と書かれています。裁判やADRでもこの言葉が多様されているのはご存知の通りです。ここで一つの例を上げます。

少し前、東電の廃炉・汚染水対策の責任者である増田氏が県内の高校に招かれ、学校内でこれまでの廃炉・汚染水対策を説明し、最後に生徒から質問を受け答えるという形の説明会を実施し、この模様はNHKのテレビでも報道されました。

増田氏は県内の会議等で「私は地域の皆様に、情報を伝える為の架け橋になりたいのです」と複数回発言しております。そこで私達市民にも増田氏による同様の説明会の開催をと希望し、東電交渉でこれまでの経緯や廃炉等に関する説明会をお願いしました。
その時の回答は「持ち帰って検討し真摯に対応させて頂きます」とのことでした。

次の交渉時の答えは「説明会は出来ません」とのこと。「架け橋になりたい」とした増田氏の言葉は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。広い意味では高校生も市民ですから、これは何かの差別なんでしょうか、全く理解不能です。

こうして東電とやり取りしていると、東電の姿勢は次のようにまとめられます。
「加害者としての認識不足」「情報は小出しにし」「対策は先送り」「質問には正面から答えない」
「情報公開は後退」と誠に不誠実で「真摯に」とは真逆に感じられます。

最後になりますが、国と福島県、東電に対して一言申し上げます。

加害者側が結託し帰還政策や健康調査、廃炉、除染、賠償の決定などを被害者である国民に押し付けるという極めて不合理な体制を改めなさい。
原発事故後の当該政策の検討には、その当事者である被害者市民を参加させ公開の場で議論しなさい。被害者の声を聞け!。

その上で、強制起訴された元東電役員3名は、公判前整理手続きを直ちに切り上げ、早急に刑事裁判に応えなさい。
起訴処分された本年2月29日から、既に9 ヶ月が経過しようとしているではないですか!。裁判開始までの引き延ばしは許されません。

以上です。


NPO「いわき放射能市民測定室たらちね」鈴木薫さんにお話しお話しいただいたパワーポイントスライドショー


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田村市 渡部貞美さんの詩 「蛭子(ひるこ)の魂」

S・わたなべ

海溝深海の暗闇に
土中深くの暗闇に
子宮とよばれる暗闇に

零点数ミリほどの
生命体が生まれる
そこに
魂とよばれるものが
すいつくように導かれ

満月とともに
いのちとなる

いのちは
木となり森となり
山をつくる

いのちは
川にむかい海にむかい
せせらぎをつくり
大海原になる

いのちは
にんげんとなり
動物となり
魚となり
鳥となり
豊かさをつくりだす

にんげんは進化をする
知識と科学と文明をきずく
山をくずし
木をきりたおし
川をせきとめ
せせらぎを消す

動物たちは
奥へ奥へと追われ
豊かな食糧をうばわれた
鳥たちは
みどりの大地とさわやかに吹く風と
すみきった青空をなくした

にんげんは豊かさをもとめて
ころしあい血を流す
核兵器でころしあう
文明というものの名をかりて

にんげんは小さきものを
弱きものを消す
同じ小さきものを弱きものを
知恵と科学でころす

同じ満月にいのちとなった
生命と魂がいかりだす
山も川も海も
空にふく風たちも
野に咲くかれんな花たちでさえ
いかりだす

いかりは大地震となり
大つなみとなり
大雨をふらせ
いのちの大事さを
おしえてくれる

生きている 生きている
何千年生きつづけるという
妖怪たちが
生きている 生きている
蛭子の魂
生きている 生きている
深海から生まれ出た
龍が
荒れくるっている魂たちを
かけずり回りとび回る
癒し回る
生きている 生きている
弱きものとさげすまれてきた
小さきものたちが
さげすまれつづけられたもの
それを力にし
生きている

ピリッ!・・・・・バキッ!・・・ドドドドー!
ザザー!と地響きをたててくずれだす
何千年もの間かかって出きた
氷山が一瞬で海にとけおちる
でかいかたまりが次から次へと・・・

白熊がにげまどう
行場をなくして
えさにありつけず
弱りはてる
北極の果てしない空と海とに
ぬくめられた空気を感じつつ
流氷をさがす
いつもの冷たい
流氷を!・・・・・

風がほえる 風がうずまく
屋根が舞う 家がなく
石のつぶてが身体中をつき抜ける
木が根っこから吹っ飛ぶ
雲が暗く 暗く
走り抜ける
雨は山をくずし
川を、堤防を破壊する
水は人々を震えさせ
仲間を切りさく

何をした
何をした
豊かな自然を
どこへやった・・・。
何をした
何をした
一緒に暮らした人々を
どこへやったのか
苦しみを、悲しみを
誰が作り出す
誰がなくそうというのだ。

いのち、いのちを消すな
たたかいはいらない
化学兵器なんかいらない
原子ばくだんも
原子力発電もいらない

いろんな人達が
生きられる、そのものを
なくしてしまったのは
誰?
そんなもの
誰も望んではいない
誰も望んではいない
だれも・・・・・・。

文明の名のもとで
空がなくなり、空気が吸えなくなる
文明の名のもとで
気温が上がり、海水もぬくるむ
文明の名のもとで

食えない魚が増え続ける
家畜たちも、ペットたちも
消される

子供たちが外で
遊べない、遊べない
医療の進歩で
自然死ができない
なぜ、なぜ、
自然が消える、色がぬくもりが
消える

おどりだす おどりだす
ひょっとこが おかめが
七福人といわれるものたちが
蛭子のたましいまでが・・・・・
満月の光をあびて
おどりだす おどりだす
弱きものたちが
神とよばれるものたちが

たたかいが
文明が
科学が
医療が
あらゆる生命を、いのちを、たましいを
消さぬよう
おどりだす
ピーヒャラ ドンドンドン
ピーヒャラ ドンドンドン
いつまでも・・・・ドドーン ドドーン
いつまでも・・・・ドドーン ドドーン
・・・・・・ドドーン・・・・・・
・・・・・・ドドーン・・・・・・
・・・・・・ドドーン・・・・・・
・・・・・・地のはてまでも・・・・・・
・・・・・・とどけとばかりに・・・・・・
・・・・・・たいこの音がひびく・・・・・・
・・・・・・ドドーン
・・・・・・ドドーン
・・・・・・生きものの内蔵をも・・・・・・
・・・・・・ふるいたたせ・・・・・・
・・・・・・おどりつづける・・・・・・
・・・・・・ドドーン・・・・・・と
・・・・・・ドドーン
・・・・・・地を這うごとく・・・・・・
・・・・・・おどり狂う・・・・・・
・・・・・・ドドーン
・・・・・・ドドーン

「1日も早く裁判を!福島原発事故被害者集会」の風景