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被害者を踏みにじる上告棄却、
次の原発事故を準備する最高裁を許さない!:佐藤和良
佐藤 和良(福島原発刑事訴訟支援団団長)
福島原発刑事訴訟支援団のみなさま
最高裁判所第2小法廷(岡村和美裁判長)は、福島第一原発事故により業務上過失致死傷罪に問われた東京電力元経営陣に対する東電刑事裁判の上告審において、3月5日付けで上告棄却の決定を行い、被告の無罪が確定しました。
決定は、国民の生命と財産に甚大な被害をもたらした日本最大の公害事件について、今も続く原発事故の被害に向き合うことなく、全ての被害者と被災者を踏みにじり、何ら電気事業者の責任を問わず、原発の危険性を放置して、次の原発事故を準備する、原子力行政におもねった最低最悪の決定です。到底受け入れることはできず、満腔の怒りを持って抗議します。
私たちは、福島原発告訴団による福島地検への告訴以来、検察審査会の起訴議決を経て、市民の力で強制起訴を勝ち取り、東京地裁での公判で、津波が予見され事故は回避できた新事実と責任を明らかにし、無罪判決にもあきらめず、公正な裁判を目指した結果、事故に至る真実が東電株主代表訴訟や民事訴訟に引き継がれました。
この13年間の活動は、ひとえに皆様のご支援とご協力の賜物です。心から感謝申し上げます。
刑事訴訟は終了となりましたが、私たちは無念の死を遂げた被害者・被災者の想いを受け継ぎ、全国で裁判を闘う皆さん、原発事故被災者の皆さんとともに進みます。
4月30日には、最高裁への抗議行動と東京での報告集会を行い、5月11日には福島県郡山市で抗議報告集会を開催いたします。
どうぞ、引き続きのお力添えをよろしくお願いいたします。
(2025年3月30日)
東電刑事裁判、最高裁の上告棄却決定に抗議する声明
被害者を踏みにじり、次の原発事故を準備する最高裁を許さない!
2025年3月6日
福島原発告訴団
福島原発刑事訴訟支援団
東京電力福島第一原発事故の刑事責任を問う東電刑事裁判において、最高裁判所第2小法廷(岡村和美裁判長)は3月5日付で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された武黒一郎、武藤栄両被告について、検察官役の指定弁護士の上告を棄却し、1~2審の「無罪」の判決を維持する決定をしました。
最高裁第2小法廷は、三浦守裁判官を除く裁判官3人(岡村和美裁判長、草野耕一裁判官、尾島明裁判官)全員一致として「業務上過失致死罪の成立に必要な予見可能性があったものと認定できず」「発電所の運転停止措置を講じるべき業務上の注意義務が認められない」とし、被告人を無罪とした第1審判決を是認した原判決の判断は「不合理な点があるとはいえない」と最悪の決定をしました。
私たちは、東京電力との深い関係にある草野耕一裁判官が裁判の公正を妨げると考え、事件の回避を求めてきましたが、3月21日の定年退官の直前の判断に強い憤りを禁じえません。一方で、2022年、東電民事裁判の最高裁6.17判決で、少数意見を書いた三浦守裁判官が事件を回避したことにも驚きました。
そもそも、第1審判決は、地震本部の長期評価に基づいて東電設計が算出した15.7メートルの津波高をもとに、東京電力が常務会で津波対策を承認していながら武藤らによって先送りした事実が公判で明らかになり、予見可能性は十分立証されたにもかかわらず、東京地裁永渕健一裁判長が握り潰した不当判決でした。
この最高裁の決定は、本件の双葉病院から避難の途中で亡くなった被害者とその遺族をはじめ、万余の人々の生活と人生を壊した、日本最大の公害事件である福島第一原発事故の全ての被害者と被災者を踏みにじるものです。
さらに、人災事故を引き起こし、国民の生命と財産を窮地に陥れ、甚大な被害をもたらしながら、原子力発電事業者は何らの責任も問われず免責されるという法的前例をつくり、むしろ、新たな原発事故を準備するものです。
決して許されるものではありません。満腔の怒りをもって抗議するものです。
私たちは、2012年、福島原発告訴団を結成し福島地検に告訴して以来、事件が移送された東京地検における不起訴処分と検察審査会の起訴議決を経て、市民の力で強制起訴を勝ち取り、2016年の福島原発刑事訴訟支援団結成、2017年から東京地裁の37回の公判の中で多くの真実を明らかにしました。2019年東京地裁の不当判決。2021年からの控訴審と2023年の控訴審判決、さらに2023年から2024年にかけての最高裁で上告審と13年にわたる道のりでした。
私たちは、改めて無念の死を遂げた被害者、その遺族、そして被災者の14年の想い、これまでの道のりの中で鬼籍に入られた多くの方々の想いを、決して忘れることはできません。
私たちは、兄弟姉妹関係の東電株主代表訴訟はじめ、全国で裁判を続ける仲間の皆さん、各地に生きる原発事故被災者の皆さんと共に、今も続く過酷な福島原発事故の被害に真摯に向き合い、原子力行政におもねる司法をも変えるためにも、これからもあきらめずに活動を継続して参ります。
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ニュースの名前「青空」は、強制起訴が決まった2015年7月31日の東京地裁の前で見た「どこまでも晴れわたった青空」から命名しました。表題は佐藤和良団長の書によります。
2025年4月11日発行
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