福島原発刑事訴訟支援団ニュース第18号 青空

『東電と密接な関係のある最高裁・草野耕一裁判官に「東電刑事裁判」の審理を回避するよう求める署名』を広げよう!
最高裁は弁論を開いて原判決を破棄し公正な判決を!!:佐藤和良

佐藤 和良(福島原発刑事訴訟支援団団長)

福島原発刑事訴訟支援団のみなさま

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
能登半島地震で被害に遭われたすべての皆様に心からお見舞い申し上げます。
東日本大震災と福島原発事故のあの日々が蘇り、胸が痛みます。被災者の皆さんの一刻も早い救援を心から祈ります。

東日本大震災と福島原発事故から13年。未だに、政府の原子力緊急事態宣言は解除されず、廃炉の最終形態の法的定義もなく、困難な事故収束作業が続いています。一方で、政府は福島原発事故の教訓と被害者を踏み躙り、原発の再稼働、運転延長や建て替えなどの原発推進路線に原子力政策を転換しました。

日本最大の公害事件、福島第一原発事故により、東京電力元取締役3名が業務上過失致死傷罪に問われている東電刑事裁判は、一審東京地裁・二審東京高裁で全員無罪とする判決が出され、検察官役の指定弁護士が上告し、最高裁第二小法廷において審理が始まります。

昨年11月13日、被害者参加代理人は、最高裁判所へ意見書を提出し、「指定弁護士が提出した上告趣意書は正当なものであり、これにもとづいて原判決を破棄する」「公正な裁判を受けるため、東京電力との密接な利害関係を指摘される西村あさひ法律事務所に過去に所属されていた草野耕一判事について、本件の審理への関与を回避する」「本件については、大法廷に回付して審理を行う」の3項目を求めました。

わたしたちは、裁判官が、独立して中立・公正な立場に立つため、外見上も中立・公正であることが求められており、草野耕一裁判官は本件の担当にふさわしくなく、審理から自ら身を引く「回避」を決断するよう、『東電と密接な関係のある最高裁・草野耕一裁判官に「東電刑事裁判」の審理を回避するよう求める署名』を進めています。

昨年11月20日には、はじめて最高裁前でアピール行動を行い、最高裁に「最高裁は口頭弁論を開き、高裁判決を破棄するよう求める署名」7,784筆を提出しました。

1月30日には、最高裁前で2回目のアピール行動を行い、署名を提出します。また、2月11日に「大手法律事務所に支配される最高裁!東電刑事裁判で改めて問われる司法の独立 東京集会」を行い、巨大法律事務所と最高裁、国と東電の癒着構造を明らかにしたジャーナリストの後藤秀典さんが講演します。多くの皆さまのご参加を呼びけるものです。

最高裁が、今も続く過酷な福島原発事故の被害に真摯に向き合い、草野耕一判事が審理を回避して、大法廷で口頭弁論を開くよう、公正な裁判を求めて、今年もしっかりと繋がってまいりましょう!(2024年1月15日)


最高裁第二小法廷の草野耕一判事は、東電刑事裁判の審理を自ら回避せよ
– 草野判事回避を求める署名を全力で集めよう:海渡雄一

海渡雄一(福島原発告訴団弁護団)

最高裁第二小法廷の構成に注目を

東電刑事裁判で私たちが勝利するためには、この裁判が係属している最高裁第二小法廷の裁判官たちに注目する必要があります。
最高裁第二小法廷は、2022年6月17日に言い渡された福島原発事故に関して国の責任を否定した判決を出した裁判所です。第二小法廷には5人の裁判官がいますが、戸倉三郎氏は長官で通常の裁判には関与しません。国の責任を否定した裁判に関わった4人のうち、裁判長を務めた菅野博之氏は辞めて、尾島明裁判官が新しく加わりました。三浦守氏と草野耕一氏、岡村和美氏が残っています。したがって、私たちの裁判は、三浦、草野、岡村、尾島の4人で審議をします。
元裁判長だった菅野氏は、最高裁を辞めて、長島・大野・常松法律事務所に顧問として入りました。この事務所は、東電の株主代表訴訟の事件に補助参加している東電の代理人をやっている事務所です。

東電と密接な利害関係のある草野裁判官

草野氏は、西村あさひ法律事務所という弁護士750名を擁する巨大ローファームの代表だった人です。我々は、この草野裁判官を裁判担当から辞めさせたいと考えています。理由は、所属していた西村あさひ法律事務所に所属する複数の弁護士が、東京電力やその関連会社の出資や株式取得に関して、リーガルアドバイスを行っていること。それだけではなく、西村あさひには顧問として、元最高裁判事の千葉勝美氏という人がいます。この千葉氏は、2020年12月に元最高裁判事という肩書き付きで、最高裁で係属していた4つの事件のうちの1つ、生業訴訟に意見書を提出しています。この意見書では、「中間指針に基づいて東電が払った賠償金は払い過ぎなので、これまで払ってきた以上の賠償を払う必要はない」などと言っているのですが、長期評価については「地震による大津波襲来の確率は、多面性、多様性、不確実性、科学的専門性を有するものであるのだから、長期評価には多面的な評価が成り立ち得る。よって、これを信用せず、津波に対する対策を打たなかったから事故を防げなかったという見方には疑問がある」などと言っているのです。恐ろしいことに、千葉氏と菅野氏は、最高裁の行政局における先輩と後輩の関係なのです。裁判長の元上司に意見書を書かせて、それを最高裁に出させて、その事件を菅野氏は素知らぬ顔をして裁判官を務めたわけです。

このような経過を調べたのが、後藤秀典さんの『東京電力の変節』(旬報社、2023年)という本です。この本によれば、草野氏のパートナー(共同経営者)であった新川麻弁護士は、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」ほか、エネルギーに関わる政府の審議員を複数務めていて、生業訴訟などが最高裁で審議中であった2021年に、東京電力の社外取締役に就任しているのです。東電の役員になった人間が、自分が所属する法律事務所の元共同経営者だった。そして東電のために、同じ法律事務所に所属していた元最高裁判事、また裁判長の上司でもあった人間に意見書を出させている。これは明らかに「裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情」があるものと考えます。草野裁判官は、東電刑事裁判の審理から自ら身を引くべきなのです。


後藤秀典 著『東京電力の変節――最高裁・司法エリートの癒着と原発被災者攻撃』
旬報社 192ページ 1650円(税込)

これは裁判の公正が疑われる事態だ!

こんな裁判官が東電と国の責任を問う事件の審理に参加していいかどうか、大いに問題があるのではないでしょうか。裁判官は、外見上も中立公正を害さないように自立・自制すべきことを要請されます。1998年12月1日に出された寺西判事補事件に対する最高裁大法廷決定は、「裁判官は、独立して中立・公正な立場に立ってその職務を行わなければならないのであるが、外見上も中立・公正を害さないように自律、自制すべきことが要請される。」と判示しています。

我々は犯罪被害者の代理人として、昨年11月13日に草野裁判官は自ら審理を回避すべきであるという意見書を提出しました。そして11月20日には、最高裁の裁判官室の前で、大音量のスピーカーで街頭宣伝をやりました。最高裁の全ての裁判官が私たちの訴えを直接聞いたはずです。最高裁の正門の前に車で乗りつけて、あそこから演説をぶったのは私も生まれて初めてです。私は草野裁判官に対して法律家としての良心があるならば、身を引くことが正しい身の処し方ではないかと申し上げました。草野裁判官が聞く耳を持ってくださればよいなと思っています。

ここまでの事実が明らかになっていながら、東電刑事裁判の判決にも草野裁判官が関わるなら、司法の独立性の確保にとって大きな禍根を残すことになるでしょう。

草野補足意見は裁判の証拠に基づかない独自意見である

実は、草野裁判官は、国賠訴訟の最高裁判決で、補足意見を書いています。「東電が予測していた予測に基づいて防護壁を作っても結局現実の津波は防げなかっただろう」というのがその内容です。ただ、この意見は言っていることが正しいかどうか以前の最高裁判決の踏まえるべき前提を欠いた意見だと思います。つまり、最高裁判所は原判決が認定した事実について、法的な論理の是非について論ずる場所です。ところが、草野氏が書いている意見は、独自の資料に基づくものです。草野裁判官が認定しているような事実関係は、4つの原判決いずれにおいても全く認定されていません。とりわけ「一号機及び三号機のタービン建屋の開口部の前には深さ六mの逆洗弁ピットがあった」と草野さんは言っていますが、この点は全く記録の中に証拠もない。こんなこと、一体誰から聞いたのか不思議です。裁判外で誰かから得た情報に基づいて判決の中の意見を書いたと推測されるのです。最高裁判事としてやってはならないことをしているのです。
このような思いから、私たちは草野さんを第二小法廷から回避することを求める署名を始めたのです。

下級審判決の中には、最高裁判決に面従腹背のものもみられる

最高裁判決は、それに後続する様々な判決に大きな影響を与えます。実際、国賠訴訟の裁判で、国の賠償責任を認めないという最高裁判決が出された後、下級審では、国の責任を認めない判断が続いています。しかし、2023年3月23日のいわき市民訴訟の仙台高裁判決では、確かに国家賠償責任は否定してされましたが、判決では次のようにも言っています。

「経済産業大臣が、長期評価により福島県沖に震源とする津波地震が想定され、津波による浸水対策が全く講じていなかった福島第一原発において、重大な事故が発生する危険性を具体的に予見することができたにもかかわらず、長期評価によって想定される津波による浸水に対する防護措置を講ずることを命ずる技術基準適合命令を発しなかったことは、電気事業法に基づき規制権限を行使すべき義務を違法に怠った重大な義務違反があり、その不作為の責任は重大である。」

まるで、原告の勝訴判決のようですね。国賠責任を結論として否定しているのですが、この判決は最高裁に対する高裁の裁判官による面従腹背の抵抗を示していると思います。この事件の上告審も最高裁に上がっています。この判決は、推本の長期評価の信頼性を認め、事故の回避可能性も全部認めています。東京電力には極めて重大な過失責任があるので賠償責任を加重するとまで述べているのです。この事件は、最高裁の第3小法廷で審理されています。

大法廷の審理を実現しよう

東電刑事裁判を小法廷から大法廷に審理を移すことも、各々の小法廷で議決すれば可能です。刑事裁判の大法廷審理が実現すれば、いわき市民訴訟も大法廷に回付されるかもしれません。もし仮に2つの事件を一緒に大法廷で論じたら、相当面白い審理になることでしょう。

草野判事の回避を求める署名を集めてください。そして、各地で損害賠償訴訟をやっている弁護団・原告団と連携して、福島原発事故について東電と国の責任を司法の場で明らかにしたいと思います。


「最高裁は口頭弁論を開け! 逆転勝利を目指す集会」リレーアピール より

本稿は、2023 年11 月20 日に東京都・弁護士会館クレオBC で開催された「最高裁は口頭弁論を開け! 逆転勝利を目指す集会」でのリレーアピールより、宇野朗子さんのスピーチを書き起こしたものです。

みなさん、こんにちは。福島市から京都に避難をしています宇野です。昨日、双葉の方に行っていて、今朝はいわきからこちらに向かってきました。

午前中、最高裁の訟廷管理官の方にお話を聞いていただきました。その時に私がお話したことをまずお伝えしたいと思います。

先程の弁護士さんからの説明にもあったとおり、これまで出されてきた地裁・高裁判決は、本当に不当な判決だったと思います。特にやはり許せないと思ったのは、あの中で明らかにされてきた、伝えられてきた被害というものにきちんと向き合っていない。そういう判決だったことが本当に許せないです。

昨日、双葉町の原発から3キロほどのところにあった特別養護老人ホームで生活指導員をされていた方のお話を聞く機会に恵まれました。その方は、この刑事裁判で被害者とされているドーヴィル双葉や双葉病院の方ではないですけれども、その方の所に入所していた方たちも大変過酷な避難、そして避難をさせるために、職員の方たちも本当に大変な思いをされていたということを伺いました。

入所されていた67人のうち3分の1ほどの方は1年以内に亡くなってしまったそうです。お話をしてくださった方のお母様も入所されていましたが、その方は避難して事故から2週間で、一番早く亡くなってしまったそうです。そのお話をしてくださった方自身も被曝をされて、そして尿からセシウムが出たというふうにおっしゃっていました。

私たちのこの刑事裁判で被害者とされている方たち44名、そしてその遺族の方たちのその後ろには、本当にたくさんの苦しみと失われた命とがあるということを裁判官の方たちには感じ取っていただきたい。ぜひ大法廷で口頭弁論も含め、そして現地検証も含め、きちんと公正な審理をしていただきたい。そして、法の正義を実現するような判決を下していただきたいと切に願っています。そういうことを伝えてきました。

今朝、最高裁に向かうときに少し遅れてしまって、初めて行くので、どこかなとキョロキョロしていましたら、向こうの方からのぼり旗がたくさん見えてきて、そして皆さんの姿が見えました。それを見て、もう本当にちょっと涙が出るほどうれしかったんですけれども、思い返せばこの起きてはいけなかった事故が起きて、私たちに何ができるだろう、本当に衝撃と喪失の中で、これを繰り返さないためにまずは責任を問うことをしようということで、私たちの告訴団の動きは始まりました。

そこで、本当にたくさんの方たちに声を上げていただいて、2回の不起訴があり、そしてそれを覆すということ。そういうことが起きて、奇跡のように始まったこの刑事裁判でしたけれども、その刑事裁判の中で明らかになっていた証拠の数々は、失われてはいけないものがきちんと公に出てきたという、本当に大きな意味があると思います。私たちはこうやってつながって動くことで希望に向かって、なかった道をつくってきたんだなというのを改めて感じています。

今日の弁護士さんたちのお話も聞きながら、最高裁に原子力ムラの力が及んでいるという、そういったショックな事実もありますけれども、それが明らかになり、そこに私たちのこの動きが、最高裁に対してきちんと司法の独立というものを取り戻してもらうための本当に大きな呼びかけになっていく。そう感じています。

これから世界の終末時計、今年90秒になったということもこの間報道されていたと思いますけれども、世界中に暴力という嵐が吹き荒れて、核兵器の使用の可能性もあり、原発が攻撃対象になり、こういう大変な時代になっていますけれども、私たちのこの刑事裁判は、こういった暴力ではない平和を求め、そして生態系をこれ以上汚染しないということ。そして生命を第一に考える、生命を守るために何ができるのか、私たちが起こしてしまった核汚染に対して、これからどうやって生命を守りながら、この核汚染物質を管理し続けるのか。そういったことに本当に世界中の人たちが協力して取り組んでいくための礎になるような、そんな動きの一つだと思っています。

最高裁では大法廷できちんとした審理をしてもらっていい判決を出してもらいたいと思います。また京都に帰って、私もできることをやっていきますので、これからもよろしくお願いします。


最高裁への署名にご協力ください!

「東電と密接な関係のある最高裁・草野耕一裁判官に『東電刑事裁判』の審理を回避するよう求める署名」を集めています。最高裁が真に公平な審理を行い、原発事故の被害に向き合った判断を下すよう。署名にご協力ください!

署名第2次集約 2月28日


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紙の署名用紙は以下のボタンからPDFを印刷してご使用ください。
(ご注意)署名は、紙の署名用紙か、ネット署名か、どちらか一方だけにお願いいたします。
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最高裁署名提出行動&国会議員とともに最高裁・草野判事問題を考える集会

第2次:最高裁前行動

  • 日時:1月30日(火)
  • 場所:最高裁正門前
    • 10:30 アピール開始
    • 11:00 終了
    • 11:30 署名提出
    • 13:00〜14:00 「国会議員とともに最高裁・草野判事問題を考える会」
       【場所】参議院議員会館B101(定員36名)

大手法律事務所に支配される最高裁!
東電刑事裁判で改めて問われる司法の独立

東京集会

  • 日時:2月11日(日)14:00~16:00
  • 場所:東京ウィメンズプラザホール
  • 内容:
    • 後藤秀典さんの講演
      (ジャーナリスト。「クローズアップ現代」「BS1スペシャル」など報道・ドキュメンタリー番組を製作。「分断の果てに “原発事故避難者” は問いかける」で貧困ジャーナリズム賞受賞。『東京電力の変節ー最高裁・司法エリートとの 癒着と原発被災者攻撃』刊行。)
    • 弁護団からの報告

事務局からのお知らせとお願い

支援団の活動は、みなさまの年会費・カンパで支えられています。2024年の会費納入がまだの方はよろしくお願いいたします。

  • 年会費は一口1,000円、一口以上をお願いいたします。カンパも歓迎です。
  • 振込用紙(手書きの払込取扱票)で納入される場合は必ずお名前・住所をご記入ください。
  • ゆうちょ銀行の普通口座(通帳)からお振込みをされる場合、その口座開設時のお名前・ご住所で通知されます。ご住所等に変更があった場合はその旨ご連絡ください。
  • ゆうちょ銀行以外の金融機関からお振込みされる場合、こちらには口座名義人のお名前がカタカナで通知されます。間違い登録を防ぐため、お手数ですがメール等で入金のご連絡をいただけると助かります。
  • 領収書が必要な場合はご連絡ください。メールの際は、件名を「領収書依頼」としてお送りください。

ゆうちょ銀⾏(郵便局)からお振込みの場合

郵便振替口座:02230-9-120291
福島原発刑事訴訟支援団

その他の⾦融機関からお振込みの場合

銀⾏名:ゆうちょ銀⾏
⾦融機関コード:9900
店番:229
預金種目:当座
店名:二二九(ニニキユウ)
口座番号:0120291


ニュースの名前「青空」は、強制起訴が決まった2015年7月31日の東京地裁の前で見た「どこまでも晴れわたった青空」から命名しました。表題は佐藤和良団長の書によります。

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福島原発刑事訴訟支援団ニュース 第18号 青空
2024年1月21日発行
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