【東電刑事裁判】最高裁判所に上告趣意書が提出されました

上告趣意書提出後に記者会見をする指定弁護士
上告趣意書提出後に記者会見をする指定弁護士

最高裁判所に、上告趣意書が提出されました

9月13日、検察官役の指定弁護士が、最高裁に上告趣意書を提出し、記者会見が行われました。

指定弁護士から、上告趣意書の解説がされ、石田省三郎弁護士は「最高裁では、我々の主張が認められると確信している」と述べられました。

上告趣意書の概要

上告の趣旨

 原判決には、①著しく正義に反する判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認、審理不尽(刑訴法411条3号)、②法例違反(同条1号)がある。

上告の理由

結果回避可能性について(第4)

 O.P.+15.707mの算定結果に基づいた対策が、本件津波に関して、防潮堤の高さが不十分なものであったとしても、水密化などの全ての対策を講じていれば全電源喪失に至ることはなく、本件事故を回避できた。

 本件事故前の時点で、水密化等の対策についての知見も技術もあり、他の発電所にも実施例があり、東京電力もそのことを認識していたのであり、「後知恵」などではない。

被告人らの認識と刑事責任(第1~3)

 被告人らの過失責任を否定した原判決の判断は、いったん事故が発生すれば、甚大な被害を惹起する可能性が極めて高い福島第一原子力発電所の安全性を確保する第一義的責任を負うのは、東京電力であり、具体的には、東京電力の最高経営層に属する被告人らにあることを全く忘れた論理である。

 被告人らは、各人の認識、立場に応じた義務があったにもかかわらず、何らの対処をすることなく、漫然と、福島第一原子力発電所の運転を継続した過失があり、この過失により本件事故を引き起こしたのである。

予見可能性の判断において、「現実的な可能性」があると認識することを要求した誤り(第6)

 「現実的な可能性」という言葉が、10m盤を超える高さの津波襲来の「切迫性」や「確実性」を意味しているとすれば、これまでの「具体的な可能性」よりも、相当に程度の高い可能性を要求していることになる。そうであれば、原判決は、被告人らの過失犯の成立の判断において、不当に高い予見可能性を要求する誤りを犯している。

「長期評価」は、10m盤を超える津波が襲来することの具体的可能性を認識させる性質を備えた情報であったこと(第7)

 最高裁判決(最高裁第二小法廷令和4年6月17日集民268号37貢等)も、「明治三陸沖地震の断層モデルを福島県沖等の日本海溝寄りの領域に設定した上、平成14年津波評価試算が示す設計津波水位の評価方法」に従って算出された計算結果の合理性を明確に認めている。 

以上